登場人物

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5-sagin 6-sagin 7-sagin     
9-sagin 10-sagin 11-sagin

326海都(めっちゃくちゃ嫌そうに)
「何の用だよ」

327美月
「失礼ですね、そんな露骨に嫌そうな顔しなくてもいいでしょう?」

328海都
「嫌だから嫌な顔してんだろーが」

329美月
「またそんな言うんだから。ほんと海都さんて可愛いよね」

330海都
「帰れっ今すぐ帰れこの変態!!」

331美月
「やだなぁ、まだ要件も言ってないじゃないですか」

332海都
「聞く耳もつか!」

333美月
「まぁそう言わずに。シーナ君と樹君に関わる事なんですから聞いて下さい」

334海都
「知るか」

335美月
「あ、そんな事おっしゃるんですか? 貴方が事の他あの二人には弱い事、僕は存じていますよ」

336海都
「何の事だかさっぱりわからんな」

337美月
「仕事がね、全然ないんですよ。全然ね。蘭君、トナミ君、樹君シーナ君悠太君、そして僕も。ないんじゃない、断られてるんです次々と。蘭君みたいな素人俳優はともかく僕のお願いまで断られるっておかしいと思いませんか?」

338海都
「って、お前今は別に……」

339美月
「ただでさえ当事務所は弱小な上借金だらけな会社。このままだと倒産するのは必至。だから貴方にお願いに来たんです」

340海都
「はっ、助けて下さいって土下座でもする気かよ」

341美月
「ええ、貴方が本気で助けてくれると言うならいくらでも」

342海都
「アホか。俺に何が出来るってんだ」

343美月
「SAGINに新曲を提供して下さい。けれど売れる曲じゃないとダメです。そうですね、三百万枚は確実に売れる曲をお願いします。それ以外はいりません」

344海都
「さっ……!?」

345美月
「三百万枚くらい軽いでしょう? なんせエリューション事務所きっての売れっ子作曲家なんですから。誰だったかな……そうそう、同じ事務所に所属しているリオナさん。確か彼女の作曲も貴方がなさってるんですよね? この間発売したニューアルバム、一週間で二万枚売れたらしいじゃないですか」

346海都
「それは俺の力じゃねーだろうが」

347美月
「いいえ貴方の力です。じゃなきゃあの顔だけが取り柄の音痴女があんなに人気になるはずないじゃないですか」

348海都
「お前相変わらず酷いな……」

349美月
「それと今までの楽曲では名前を伏せさせて頂きましたが、今回は出させてもらおうと思います」

350海都
「はっ? ふざけんな! 名前出さねぇっつーから俺はっ……」

351美月
「それだけ切羽つまってるんですこちらも。どこぞの事務所のせいでね」

352海都
「俺の知った事かよ」

353美月
「ええ、貴方には関係ない。なら関係ない貴方の名前がどこで明かされても関係ないでしょう?」

354海都
「あのな、こっちは所属規約ってのがあるんだぞ?」

345美月
「あれ、今関係ないっていいましたよね。関係ないのに規約に何か問題があるんですか?」

346海都(絶句)
「……っ。あぁもうわかったわかった! 曲作ればいいんだろ"タダ"で!!」

347美月
「はい、タダでお願いします。あくまで友人に渡す楽曲で、金銭的契約はない楽曲を」

348海都
「わぁったよったく……」

349美月
「すみませんねぇ、こちらもこれ以上社長に負担をかける訳にはいかないので」

350海都(ふと)
「仕事ねぇって全然ないのか?」

351美月
「ええ、0です。来月は無収入になりそうです。あぁまぁCDが売れれば少しは入ってくるでしょうね。けど、先日手売りしようと思ってたミニコンサートは失敗に終わりましたし……どうしましょうか」

352海都(少し考えて)
「明日また同じとこでライブするけど……見にくるか?」

353美月
「昨日……パークプレイの噴水広場ですか?」

354海都
「SAGINの連中を連れて来ればいんじゃね? 見にくるならあいつらの曲"弾いてやっても"いいけど」

355美月(何かに気付いた様にニヤリと)
「へぇ、では折角のお誘いですし見に行かせて頂きましょうか」

356海都
「よければ、だがな」

357美月
「ふふ、本当優しいですね海都さんて」

358海都
「フンッ、言ってやがれ」

359美月
「さぁ、では僕は失礼させて頂きます。ありがとうございました」

360海都
「あーとっとと帰れ帰れ」


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