登場人物

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60※
それから、俺の地獄の売り込み活動が始まったって訳。
親の仕事にまったく興味がなかった俺は、いざその職についてみてもやり方なんて全然わからなかった。
タレントを売り込み仕事をとってくる。

たったこれだけの事が、こんな難しい事だなんて思ってもみなかったんだ――。


61貴文「あ、すみませんMeeting事務所と申しますが。ええ、先日出された清涼飲料に是非うちのタレントを使って頂きたく……え? 今さら遅い? や、でも第二期のイメージキャラって事でそこをなんとか……あっ、ちょ、ちょっと待って下さい! あっ(プツリと電話が途切れ)はぁ〜やっぱダメか」

62美月
「ダメでしたか?」

63貴文
「ん〜。発売する前にイメージタレントも歌も決まってるんだとさ。遅いって」

64美月
「そうですか。まぁ時期的に仕方ないと言っちゃ仕方ないですよね」

65貴文
「だよなぁ。そっちはどうだった美月?」

66美月
「僕の所も一緒ですね。既に起用タレントは決まってます、との事です」

67貴文
「あ〜っ大手全滅かぁ」

68美月
「まぁ、もう8月ですからね。夏場の新発売する飲料水、生活用品、海のイメージタレントは普通は7月から決めだしますし。本来なら今の時期仕事なんて残ってないですよねぇ」

69貴文
「だよなぁ……はぁ。悪いな美月。事務のお前にマネージャーの真似みたいな事させて」


70美月
「いいえ僕は別に。貴文さんの為ならこれくらい」

71貴文
「さ、サンキュー……」

72※
この執事みたいな喋りをするのはうちの事務所に昔っからいる最古参の事務員で櫻木美月。名前で女とよく勘違いされるけれど、一応男だ。
度胸が据わってるのか、よく今みたいな恥ずかしいセリフをペロッと吐く奴だけど、まぁ芸能人を扱う側としては必要な要素なんだろうなこれも。


73貴文
「あとは街頭ライブでもするっきゃないよなぁ」

74美月
「街頭ライブ、ですか?」

75貴文
「そ。街頭ライブやって顔売ればちょっとはCDの売上あがるかなってさ」

76美月
「う〜ん悪い案じゃないと思いますけど、街頭ライブをやるにはまず警察の許可がいるんですよ」

77貴文
「え、そうなの?」

78美月
「駆け出しと言えどアイドルですから。会社が関わる以上許可は必要です」

79貴文
「ぁんだよいい案だと思ったのにさぁ」

80美月
「ね、貴文さん」

81貴文
「んぁ〜?」

82美月
「街頭ライブってまでは行きませんけど、CDショップでのミニコンサートってどうです?」

83貴文
「ミニコンサート?」

84美月
「ついでにCDも手渡し販売してしまいましょう」

85貴文
「してしまいましょうって、そんなのどうやって……」

86美月
「勿論準備は抜かりなく」

87貴文(書類を渡され・感動しながら)
「お前って天才」

88美月
「もっと言って下さい」



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